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三輪(みわ)
【分類】四番目物 (雑能)
【作者】不詳
【主人公】前シテ:里女、後シテ:三輪明神
【あらすじ】(仕舞〔クセ〕の部分は下線部です。仕舞〔キリ〕の部分は斜体の部分です。)
大和国(奈良県)三輸山の麓に庵室をかまえている玄賓僧都のもとへ、毎日樒〔しゅみ〕と閥伽〔あか〕の水を持ってくる女があります。今日も、この淋しい庵を訪れた女は、罪を助けてほしいと、僧都にたのみます。そして、秋も夜寒になって来たので、衣を一枚いただきたいといいます。僧は衣を与え、女の住家を尋ねると、「わが庵は三輪の山もと恋しくば、とぶらひ来ませ杉立てる門」という歌があるが、その杉立てる門を目じるしにおいでなさい、といいすてて、姿を消します。
<中入>
里の男は宿願のため三輪明神に日参していますが、今日が満願の日に当り参詣すると、御神木の杉の枝に一枚の衣が掛かっています。見ると玄賓僧都の衣なので、不審に思い、早速僧都に知らせにやって来ます。僧都が、この者に勧められて神前に来て見ると、いわれた通り、自分の衣が掛かっており、その裾に一首の歌が書いてあります。それを読んでいると、杉の木陰から御声がして、女姿の三輪明神が現われ、神も衆生も救うためしばらく迷い深い人間の心を持つことがあるので、罪を助けてほしいといい、三輪の妻問いの神話を語り、天照大神の岩戸隠れの神話を物語って神楽を奏しますが、夜明けと共に消えてゆきます。
【詞章】(仕舞の部分の抜粋です。)
〔クセ〕されどもこの人。夜は来れども昼見えず。ある夜の睦言に。御身いかなる故により。かく年月を送る身の。昼をば何と烏羽玉の.夜ならで通い給わぬは.いと不審多き事なり。ただ同じくはとこしなえに。契りをこむべしとありしかば。彼の人答えいうよう。げにも姿は恥ずかしの。漏りてよそにや知られなん。今より後は通うまじ。契りも今宵ばかりなりと。懇に語れば。さすが別れの悲しさに。帰る所を知らんとて。おだ巻に針をつけ。裳裾にこれを閉ぢ付けて。跡をひかえて慕い行く。まだ青柳の糸長く。結ぶや早玉の。おのが力にささがにの。糸くり返し行く程に。この山本の神垣や。杉の下枝に止りたり。こはそもあさましや。契りし人の姿か。その糸のみわげ残りしより。三輪のしるしの過し世を.語るにつけて恥ずかしや。
〔キリ〕思えば伊勢と三輪の神。思えば伊勢と三輪の神。一体分身の御事。今更何と岩倉や。その関の戸の夜も明け。かくありがたき夢の告げ。覚むるや名残なるらん。覚むるや名残なるらん。
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