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春栄しゅんねい

【分類】二・四番目物(侍物)

【作者】世阿弥

【主人公】シテ:増尾種直

【あらすじ】(仕舞の部分は下線部です。)

増尾の春栄丸は宇治の合戦の際に捕われの身となって、伊豆国・三島の高橋権頭家次の陣屋につながれています。家次は春栄丸が自分の死んだ息子に似ているので養子にしたいと考えますが、既に斬罪の判決が下っていて今は刑の執行を待つばかりです。そうしたある日、春栄丸の兄・増尾太郎種直が家次の館を訪ね、春栄丸に面会を申し入れます。春栄丸は兄の来訪を喜びますが、肉親と知れては同罪になると恐れて、家来の者だと言い張ります。兄は弟と一緒に殺される覚悟で来たので、それでは情けないと言って腹を切ろうとします。ここに至って春栄丸も翻心し互いに名乗りあいます。委細を見ていた権頭は兄弟愛に涙を催します。そして種直に自分が春栄丸を貰いうけたい由を話していると、鎌倉から囚人の断罪を命じられ、最期と覚悟をしていると、再び鎌倉より赦免が伝えられ、一同は喜び、種直は舞を舞い、春栄丸は家次の養子となって共に鎌倉に旅立ちます。

【詞章】(仕舞の部分の抜粋です。)

あずま路の。秩父の山の。松の葉の。千代の影そう。若みどりかな。若みどりかな。若みどりかな。老木も若みどり。立つや若竹の。親子の契り。または兄弟。かれといいこれといい。いずれもいずれも睦ましく。親子兄弟と。栄うることも。これ孝行を。守りたもう。三島の宮の。ご利生と伏し拝み。親子兄弟。さも睦ましく。うち連れて。鎌倉へこそ。参りけれ。

 

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